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慢性合併症には大きく分けて2種類存在します。一つは糖尿病特有にみられる3大合併症、すなわち網膜症(眼の奥の病気)・神経障害・腎症であり、もう一つは糖尿病以外の病気でもみられる動脈硬化症です。 |
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:細い血管の障害によって引き起こされます。 |
1)網膜症:毎年3000人の方が失明されています。 |
:眼の奥にある網膜(カメラでいうフィルム)に出血、変性、新生血管(これまでなかった血管でもろい)の出現、剥離などが生じます。自覚症状はあてになりません。定期的に眼底検査をお受け下さい。 |
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:両側の手足の先に、しびれ・痛い・冷たい・ほてる・異和感などの症状が出てきます。特にしびれは要注意で、足に傷があっても気づかず壊疽の原因になることがあります。
:立ちくらみ、頑固な便秘・下痢、尿意がなくなる、発汗障害などの自律神経障害をみることもあります。 |
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3)腎症:新規透析導入の原因疾患NO.1(毎年11000人が導入) |
:尿をつくる腎臓に障害がでてきます。初期の障害の有無をみるには、尿蛋白、とりわけ尿アルブミンの排泄量をチェックします。尿アルブミン排泄量が多くなると血液検査で尿素窒素、クレアチニンなどで腎機能を評価していきます(値が高くなるとダメ)。腎機能が非常に悪くなると(腎不全)、人工透析療法の適応となります。腎臓を長持ちさせるには、血糖コントロールのみならず、血圧コントロールが非常に重要です。 |
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:糖尿病の方は10年早く動脈硬化が進むと言われています。 |
1)狭心症(心筋は生きている)・心筋梗塞(心筋は死んでいる) |
:心臓を養っている冠動脈に細い部分(狭窄)が生じるために、運動時に左前胸部に疼痛、締め付けられる感じ、動悸などを感じます。 |
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:脳動脈に狭窄が生じて脳の虚血(血液が十分いかないこと)により脳梗塞が生じます。また、動脈硬化の進んだ血管はもろく、脳出血の原因となります。特に持続時間の短い半身のしびれ感やめまいなどが脳梗塞の初期の信号となることもあるのでご注意下さい。
:「頚動脈エコー」を行うことでご自身の頚動脈の硬化の程度を把握できます。 |
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:足の動脈に狭窄が生じて起こります。特徴的なのは、数百メートル歩くと太もも〜足にかけて痛みが生じ、しばらくじっとしていると症状は軽快し、また歩くことができるようになります。このような現象を「間歇性跛行」といいます。病気が進行すると安静時にも足に痛みが生じます。 |
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その2 死の四重奏(カルテット)
糖尿病(または耐糖能異常)・肥満・高血圧・高脂血症が互いに誘発しあったり、悪化させあうことが知られてきました。特に腹部内臓に脂肪が蓄積している人(お腹がでている人)に多くみられる現象です。一人の患者さんがこの4つを同時に併発すると動脈硬化を促進し、とりわけ心臓を養っている冠動脈に狭窄(細い部分)を来して心筋梗塞など直接命に関わる病気の危険因子となることから,「死の四重奏(カルテット)」と呼ばれています。
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