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●甲状腺を触れると結節性に腫大している場合があります。この場合には、以下のようないくつかの病態が考えられます。
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- 良性腫瘍
A.濾胞腺種(大部分を占めます)
B.その他の良性腫瘍
- 悪性腫瘍
A.乳頭癌
B.濾胞癌
C.未分化癌
D.髄様癌
E.悪性リンパ腫
F.その他の悪性腫瘍
G.続発性(転移性)腫瘍
- 腺腫様甲状腺腫(過形成性病変)
- 嚢 胞
- 急性化膿性甲状腺炎(炎症性疾患であり皮膚が赤く腫れて押すと痛い)
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1.超音波検査 |
●頚部にゼリーをぬりプローブで表面をなぞることによって、甲状腺の内部を知ることができる痛くない検査です。結節の見え方などによって疾患を鑑別します。殆どの場合、画像診断としては超音波検査で十分です。 |
2.頚部CTスキャン |
●特に甲状腺の隣接臓器(気管や食道など)との関連をチェックしたり、リンパ節転移の有無をみる場合に有効です。 |
3.核医学的検査(甲状腺スキャンならびにガリウム・スキャン) |
●甲状腺スキャンは甲状腺ホルモン合成が亢進している腫瘍などの診断に有効です。またガリウム・スキャンは悪性腫瘍の中でも悪性リンパ腫や未分化癌の診断に有効です。 |
4.エコー・ガイド下穿刺吸引細胞診 |
●画像診断で結節性病変の確認を行った後、確定診断は病変から細胞を採取して顕微鏡で顔つきをチェックして行います。方法は甲状腺超音波を行って、そのプローブの先端に注射針を装着し、病変に向かって針を進行させて、細胞を吸引採取します。甲状腺超音波で画像をみながら行うので、安全性にも優れています。 |
当クリニックでは甲状腺超音波検査は来院された日に実施可能です。ただし、その他の検査に関しては実施されている病院をご紹介させていただいております。
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- 一般に悪性疾患の場合には、甲状腺全摘出術が行われます。転移のある場合には放射性ヨードの内照射が併用されます。この場合、甲状腺機能は低下しますので甲状腺ホルモンの補充療法を受けなければなりません。また一部の悪性疾患(悪性リンパ腫や未分化癌)の場合には、抗がん剤による化学療法が選択される場合があります。
- 一方、良性腫瘍の場合には経過観察でフォローされることが多いですが、腫瘍径が3cm以上の場合には手術をお勧めすることが多いです。というのも、細胞診で濾胞腺腫と濾胞腺癌の鑑別は極めて難しく(非常に似通っている)、手術標本でやっと診断が可能となることが多いからです。したがってある程度の大きさの腫瘍の場合には、手術をお勧めすることが多いのです。また少量の甲状腺ホルモンを投与してTSHを抑制することで、腫瘍サイズが縮小可能となる場合もあります。
- 腺腫様甲状腺腫の場合には、超音波検査による経過観察が重要です。時に悪性疾患の合併がみられることがあるからです。
- 嚢胞はエコー・ガイド下穿刺吸引細胞診の際に中の液を除去することができます。そうすることで結節のサイズの縮小がえられます。ただし、しばらくするとまた中に液がたまってしまうことが殆どです。施設によっては中にエタノールを注入し炎症をおこさせて、液がたまるのを防いでいる場合があります。
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