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 検査の基準

★ すこやか検診で実施される血液検査に関する豆知識

赤血球数 参考基準範囲 410−530 単位  /μl
  • 血液の主要成分の一つで、酸素を身体のすみずみまで運び、また不要となった二酸化炭素を運び出す働きを司っている細胞。
    赤血球の数が減少した状態が「貧血」であり、逆に多くなった状態が「多血症」です。

血色素量:ヘモグロビン量 参考基準範囲 14.0−17.9 単位 g/dl
  • 血色素(ヘモグロビン)とは基礎赤血球の中に含まれている酸素を運ぶ蛋白質(ヘム:鉄を含む色素+グロビン:蛋白質の一種)。
    したがってその量が減少すると「貧血」状態をさし、多くなった場合、「多血症」状態を意味します。

ヘマトクリット値 参考基準範囲 39.0−52.0 単位 %
  • 血液の容積に占める赤血球の割合(どのくらい含まれているか)を示す指標。
    ヘマトクリット値が減少していると貧血」状態をさし、多くなった場合、「多血症」状態を意味します。

白血球数 参考基準範囲 3000−10000 単位 /μl
  • 白血球とは生体内に侵入した細菌やウイルスなどの微生物を取り込んで破壊したり(食作用)、抗体を産生してこれらを殺したりする(免疫反応)働きを行っている血液細胞をいいます。
    白血球の数が多くなる場合には、細菌感染症、白血病、外傷などが考えられます。ただし喫煙をされている場合には上昇することが知られています。逆に減少する場合には、特殊な貧血、骨髄(血球を産生する場所)の障害、肝硬変に伴う脾機能亢進症、特殊な膠原病などが考えられます。ただし、元々生まれつき白血球数の低い人もおられます。

血小板数 参考基準範囲 14.0−35.0 単位  /μl
  • 血小板は血液中に含まれる有形成分の一つで、主に止血の働きを司っています。
    血小板数が増加する場合には、骨髄増殖性疾患(本態性血小板血症、慢性骨髄性白血病など)、感染症などにより生じ、血栓症の併発に注意しないといけません。
    一方、減少する場合には、血小板の産生が低下する場合(再生不良性貧血、急性白血病など)、破壊が亢進する場合(脾機能亢進症、特発性血小板減少性紫斑病、特殊な膠原病など)、分布異常による場合(播種性血管内凝固症候群など)が原因として考えられます。
    血小板数の減少は出血傾向(紫斑、粘膜出血、鼻出血、消化管出血など)をもたらします。

GOT 参考基準範囲 40以下 単位 IU/l
  • 身体の重要な構成要素であるアミノ酸の代謝にかかわっている酵素であり、ほとんどすべての細胞に含まれていますが、とりわけ肝臓、心筋、骨格筋の細胞に多いとされます。
    GOTの高値は急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝やアルコール性肝炎などの肝疾患、急性心筋梗塞などの心疾患、重症筋無力症や筋ジストロフィー症などの筋疾患でみられます。ただし、激しい運動をした後や溶血(採血の際に血液がこわれること)でも高値を呈します。

GPT 参考基準範囲 35以下 単位 IU/l
  • 身体の重要な構成要素であるアミノ酸の代謝にかかわっている酵素であり、主に肝臓に多く含まれています。
    GOTと異なり、その高値は主として肝疾患(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝やアルコール性肝炎など)の存在が疑われます。

GPT 参考基準範囲 35以下 単位 IU/l
  • 身体の重要な構成要素であるアミノ酸の代謝にかかわっている酵素であり、主に肝臓に多く含まれています。
    GOTと異なり、その高値は主として肝疾患(急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、脂肪肝やアルコール性肝炎など)の存在が疑われます。

γ−GTP 参考基準範囲 39以下 単位 IU/l
  • 肝臓での薬物代謝にかかわる物質(グルタチオン)の合成に関係する酵素で、腎臓、膵臓、肝臓、脾臓、小腸などに含まれています。
    その高値はとりわけアルコール性肝障害の際によくみられます。したがって、アルコール摂取量を減量すると速やかに改善がみられることが多いです。アルコール以外の肝障害(胆汁うっ滞性肝炎、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変など)でも同様に高値をとります。

総コレステロール 参考基準範囲 150−199 単位 mg/dl
  • 脂質の一種で、細胞膜や血管壁の構成、副腎皮質ホルモンや性ホルモンの原料、脂肪の吸収に必要な胆汁酸の材料になるなど、生体になくてはならない役割をしている物質です。血液中のコレステロールは食事中のコレステロールの吸収のほか、大部分は皆さんの肝臓で造られます。総コレステロールにはHDL−コレステロール(動脈硬化になりにくくする善玉コレステロール)、LDL−コレステロールとVLDL−コレステロール(動脈硬化を引き起こしやすい悪玉コレステロール)の三種類が存在します。
    一般に総コレステロールの高値が持続すると動脈硬化が発症・進展します。上昇する基礎疾患としては、遺伝性疾患である家族性高コレステロール血症、糖尿病、甲状腺機能低下症、閉塞性黄疸、ネフローゼ症候群などがあげられます。一方、低下する病態としては、肝硬変、甲状腺機能亢進症、アジソン病(副腎皮質機能低下症)などがあります。

HDL−コレステロール 参考基準範囲 40以上 単位 mg/dl
  • コレステロールや中性脂肪などの脂質は単独では血液に溶けません。このためアポ蛋白という蛋白と結合し、血液に溶ける形となって全身に流れていきます。これをリポ蛋白と呼び、比重の違いからカイロミクロン、VLDL、LDL、HDLの4つに大別することができます。このうちのHDLに含まれるコレステロールをHDL−コレステロールといいます。
    HDL−コレステロールは末梢組織にあるコレステロールを肝臓に運搬する働きを有するため、動脈硬化を抑止する働きをもつことから、善玉コレステロールと呼ばれています。
    その値が上昇している場合、遺伝性である長寿症候群、ある種の薬剤(抗高脂血症薬)の影響などが考えられます。一方、低下する場合には、糖尿病、肝硬変、喫煙、肥満、運動不足などが原因として挙げられます。

中性脂肪 参考基準範囲 149以下 単位 mg/dl
  • 脂質の一種でトリグリセリドとも呼ばれます。食事に含まれる脂肪分が腸管から吸収されるほか、脂肪や糖分を材料として肝臓でもつくられます。高値が持続するとコレステロール同様、動脈硬化を引き起こします。
    中性脂肪は高脂血症、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、脂肪肝などで高値を呈します。また、遺伝、過食・アルコール多飲、運動不足、ストレス過剰、肥満などでも上昇します。一方、低下する場合には、栄養不良、吸収不良症候群、慢性肝障害などが基礎疾患として存在する可能性があります。

LDL−コレステロール 参考基準範囲 129以下 単位 mg/dl
  • HDL−コレステロールと逆に末梢組織にコレステロールを運び、動脈硬化などを引き起こす悪玉コレステロールです。直接測定することもできますが、一般的には以下の計算式をもとにして算出します。
    LDL−コレステロール=総コレステロール−(HDL−コレステロール+中性脂肪×0.2)
    増加・減少する病態に関しては総コレステロールの項目を参照して下さい。

血 糖 参考基準範囲 109以下 単位 mg/dl
  • 血液中に含まれているブドウ糖(グルコース)のことをいい、血糖値とはブドウ糖が血液にとけている濃度(こさ)を言います。血糖は膵臓からでてくるインスリンなどによって濃度が微調節されています。
    血糖の上昇は、糖尿病状態が存在する可能性を示します。軽度異常値を呈した方は75g経口ブドウ糖負荷試験をお受けになり、しっかりと診断してもらいましょう。逆に70mg/dl以下の低い場合は、低血糖を生じさせる種々の疾患がないか否かを専門医に調べてもらいましょう。

HbA1c:グリコヘモグロビン 参考基準範囲 5.4以下 単位 %
  • 赤血球中のヘモグロビン(血色素)と血液中のブドウ糖が結合したものをグリコヘモグロビン(糖化ヘモグロビン)といい、過去約1−2ヶ月間の血糖の平均点をあらわしています。血糖は測定前の影響(食事、運動、精神状態など)を受けやすく変動が大きいのですが、グリコヘモグロビンは食事などの影響が少なく、過去の平均血糖状況を反映するため、糖尿病の指標として用いられています。
    老人保健法では正常値が一般臨床で用いられている正常上限値:5.8%よりも低く設定されています。
    当然高値をとる疾患は糖尿病です。また異常低値を呈する状態に長期の低血糖、各種貧血、異常ヘモグロビン血症などがあげられます。

クレアチニン 参考基準範囲 1.20以下 単位 mg/dl
  • 筋肉内でクレアチンという物質からつくられて血液中に出現し、腎臓から尿中へ排泄される物質で、主として腎機能を表す指標です。その値が高くなればなるほど、腎機能低下を意味します。
    したがって高値を呈する疾患としては、腎機能障害(腎不全)、肝硬変などがあげられます。一方、低値を呈する病態としては、筋疾患(筋ジストロフィー症)、長期臥床、妊娠などがあげられます。

尿 酸 参考基準範囲 3.0−7.0 単位 mg/dl
  • 細胞の核に含まれる核酸の成分のひとつであるプリン体という物質が、体内で分解してできる最終産物で、高値をとると高尿酸血症と呼ばれます。一般に高尿酸血症は、肥満、プリン体の摂取過多、多量の飲酒などが原因とされます。すなわち尿酸の体内での産生過剰もしくは尿への排泄障害によって招来されます。高尿酸血症により、関節炎(痛風)、動脈硬化、腎障害などが生じます。

Total−PSA 参考基準範囲 2.0以下 単位 ng/ml
  • 体内に腫瘍ができると、健康なときには殆どみられない特殊な物質がその腫瘍によって大量に産生され、血液中に出現してきます。この物質を「腫瘍マーカー」といいます。
    PSA(前立腺特異抗原)は前立腺上皮細胞で産生される糖蛋白質。4.0〜10.0ng/mlは軽度上昇域とされ偽陽性率が高くグレイゾーンとされています。
    PSAは前立腺癌で上昇しますが、良性の前立腺肥大症や急性前立腺炎でも上昇します。PSAの上昇がみられた場合には、鑑別のため前立腺の触診、経直腸エコー、MRIを行い、前立腺癌の可能性が強く疑われる場合には、生検を行い確診を得るようにします。

PSA F/T比 参考基準範囲 0.23以上  
  • PSAは血清中ではα1−アンチキモトリプシンおよびα2−マクログロブリンと結合して複合体を形成していますが、一部が非結合の遊離PSA(F)として存在します。前立腺癌の場合には結合型PSAの割合が高いことから、F/T 比は低い傾向になります。

AFP 参考基準範囲 10以下 単位 ng/ml
  • AFP(アルファ・フェトプロテイン)は、肝細胞癌の腫瘍マーカーとして用いられる糖蛋白質です。肝細胞癌の場合には、基準値の数倍〜10数倍の高値を示し、進行とともに上昇を続けます。しかしながら、肝細胞癌以外の病態、すなわち肝硬変や肝炎で肝細胞の壊死が強いときにAFPが陽性になることがあります。しかし上昇度は数倍以内であり、経時的に上昇を続けることは稀です。
    AFPの高値がみられた場合には、腹部エコーや腹部CT検査による精査が必要です。

HBs抗原 参考基準範囲 陰性  
  • 肝臓に特異的に炎症を引き起こす肝炎ウイルスの一つである、B型肝炎ウイルスに感染しているか否かを調べる検査です。HBs抗原が陽性である場合には、さらに詳細にB型肝炎ウイルス・マーカーをチェックする必要があります。

HCV抗体 参考基準範囲 0.99以下 単位 s/co
  • 肝炎ウイルスの一つであるC型肝炎ウイルスに感染しているか否かを調べる検査です。HCV抗体陽性の場合にHCVウイルスの真の存在を確かめる目的で、HCV抗原やHCV核酸をさらにチェックします。あきらかに陽性であれば、C型肝炎ウイルスによる肝障害の可能性が高くなりま
    す。

※なお、これらの情報は「改訂新版 病院で受ける検査がわかる本(高木 康・田口 進 共著:法研:1700円+税)」を参考にさせていただきました。この本は非常にわかりやすく、かつ詳細に検査に関して解説された良書です。興味のある方はお求めになられてはいかがですか?



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